法人破産について
事業が継続できなくなった、倒産状態の企業を法律に従って処理する手続きを破産といいます。
破産手続きとは、裁判所に破産申立てを行い、裁判所が選任した破産管財人の管理のもと、財産の処分、税金や賃金等の優先的債務の返済をして、余った資産を残りの債権者に配当することで、債務を清算する手続きです。破産手続きをすると、会社の持っている法人格(会社の存在)が消滅してしまいます。破産手続きは、どんな場合でも出来るわけではありません。会社が破産手続きを行うと、取引相手や債権者、従業員、関係者に多大なる迷惑をかけてしまうため、簡単には行うことができなくなっています。
破産できるのはどんなときか
会社が破産をすることができるのは、支払い不能であると認められる場合、債務超過であると認められる場合の2点を裁判所に認められたときです。破産原因があると認められれば、裁判所は破産手続開始決定をし、同時に債務者は破産者となります。破産者が会社(法人)である場合には、原則として破産手続開始決定とともに解散し、破産による清算が終了すれば法人格そのものが消滅します。
会社が破産の手続きを行うと、会社が所有している財産はすべて現金化され、債権者に配当されることになります。債権者からしてみれば、いくら配当を受ける権利があるからといって、すべての債権を回収できると保証されるわけではありません。破産は取引先やお金を貸した債権者にも大きく経済的ダメージを与える可能性があります。
支払いが不能と認められる場合
支払不能の状態とは、会社が持っている財産、技能、会社としての信用や労力など、そのどれによっても、決められた期日まで債務を弁済することができない状態を指します。今お金がない状態だからといって支払不能の状態という訳ではありません。約束の期日までに支払いはできなくても、会社の売上が右肩上がりに伸びており、今後返済できる見込みがある場合などは、支払不能の状態にあるとはいえません。債務の全てあるいは大部分を弁済できず、さらに長期間に渡って弁済できないような状態を“支払不能”と判断されることとなります。
債務超過であると認められる場合
債務超過の場合とは、会社が所有する全ての財産を処分しても、債務を完済することができない状態のことを指します。
例えば、会社が銀行から2億円の借入れをしている際に、その時の会社の所有する財産(現金、預金、建物、土地、設備など)を全て合わせて1億円の価値しかない場合は、全て現金化しても完済はできませんので、債務超過の状態にあると判断されることになります。
ただし、決算上赤字であっても経営を続けている会社は多く、決算上赤字であればすべての会社に破産原因があるということになるわけではありません。なお、債務超過を理由に破産を行うことができるのは、株式会社、旧有限会社、合同会社のみとなります。
今の事業を継続したいという方は、民事再生や会社更生を検討するのがよいでしょう。ただし、民事再生や会社更生は時間も金銭もかかってきます。余裕がない場合は、破産、清算の道を選ぶことになります。
何を選べばよいか、何が選べるのか、どうすればよいのかわからないという方は、弁護士に相談することをお勧めします。当事務所の弁護士は、あなたの会社の状況をよくお聞きし、あなたのお悩みを解決するための最適な方法をご提案いたします。一人で悩まず、まずはご相談ください。